膝の構造
膝関節は、骨、軟骨、靱帯、筋肉、腱などから構成されており、正常な膝関節はスムーズに動き、歩行や方向転換、その他の多くの動作を行うことができます。
膝関節は、3つの骨から構成されており、脛骨の上に大腿骨が乗り、更に大腿骨の前面には膝蓋骨があります。
膝関節の機能を正常に維持するためには、関節に負担をかけすぎないよう体重コントロールや、膝周りの筋肉を常に鍛えておくことが大切です。 |
変形性膝関節症とは
老化によって起こる膝の痛みといえば変形性膝関節症です。
この病気は、膝の関節が変形してきて起こるもので、加齢によって膝の軟骨が磨り減り、骨同士が擦れ、骨棘(トゲ)が出てくることで痛みが生じます。
また、軟骨の厚さが減って関節に緩みが生じ、グラグラと膝が不安定な状態となり痛みが生じる場合もあります。
日本人の多くはO脚である為に内側の軟骨が擦り減ることが多く、内側の痛みを訴える方がほとんどです。また、動き始めに痛む、階段を降りるときに痛む、立ち上がり時に痛む、といった症状が多いのも変形性膝関節症の特徴です。
変形性膝関節症の治療法
投薬 注射 |
投薬は消炎鎮痛剤の内服薬や、湿布などの外用薬などを使用します。
注射は大きく分けて2種類あります。
@痛みや炎症が強い場合には、局所麻酔剤やステロイド剤の注射を行います。
Aヒアルロン酸注射は、関節の動きを滑らかにし、軟骨を守るとともに、ひざの痛みや炎症を抑える作用があります。注射は、原則毎週1回を5週間にわたって行います。その後は、症状に合わせ2〜4週間に1度注射を行います。
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理学療法 (リハビリ) |
可動域訓練や筋力訓練を行います。
可動域訓練は、痛みのために関節の動きが悪くなったり、動く範囲が狭くなった関節の動きを改善させるために行います。
筋力訓練は、衰えてしまった膝周囲の筋力を回復させ、筋力向上・維持、安定した歩行や転倒予防などのために行います。
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装具療法 |
日本人はO脚が多く、関節の内側の痛みを訴える方が殆どです。このような場合、体重の負担
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手術的治療 |
関節鏡視下手術
骨切り術 |
股関節の構造
股関節には、普通に歩くだけでも体重の3〜4倍の力がかかるといわれています。
関節の骨に負担をかけすぎないよう体重コントロールや、股関節周りの筋肉を常に鍛えておくことが大切です。
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変形性股関節症の症状
変形性股関節症は先天性・後天性の疾病や外傷によって関節の構造に破綻を来した状態をいいます。
関節軟骨に変性が起こり、更にすり減ったり、骨棘(トゲ)ができたりしてすり合わせに不具合が生じ、関節が変形していく病気です。
症状は、股関節痛、関節の可動域制限、そして跛行です。初期のころは、運動したり、長く歩いたりした後に一時的に痛みがみられる程度ですが、徐々に進行していくと、股関節を動かしたときの痛みや歩行痛が頻繁に起こるようになります。そして痛みも次第に強くなって跛行も目立つようになってきます。
始めの頃は少し休んだり、横になれば症状が楽になりますが、末期になると歩き始めの痛みが強くなり、横になっていても痛みが治まらなくなります。
ひとつ注意しなければならないことは、股関節が悪いのに、膝や腰が痛くなる場合があることです。専門医を受診し、きちんと診断してもらうことが大切です。
変形性股関節症の治療法
薬物治療 |
消炎鎮痛剤の内服薬や、湿布などの外用薬などを使用します。
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保存的治療
理学療法 (リハビリ) |
変形性股関節症の場合は、炎症と痛みに十分配慮し、太腿の筋肉や、股関節周囲筋の筋力強化を行います。
筋肉には関節への負担や衝撃を和らげる役目があるため、痛みの軽減や症状の進行を抑制する効果があります。
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体重コントロール |
体重の増加は股関節に負担を与える要因となり、痛みの増強にもつながります。しっかり管理することが大切です。
また、変形性股関節症の進行を抑制するためには、股関節に無理な負担をかけない工夫も大切です。たとえば、ベッド・椅子・洋式トイレ といった洋式の生活に変える、激しい運動や立ち仕事などはなるべく避ける、杖を使うようにするなどです。
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手術的治療 |
骨切り術 |
半月板損傷とは
半月板自体には神経がありませんが、関節の骨同士のかみ合いが悪くなり、それに伴う周辺組織の炎症、変形性膝関節症を発症することにより痛みを生じるようになります。
半月板には、軟骨にかかるストレスを減らすクッションのような重要な役割があるため、出来る限り温存することが重要です。
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半月板損傷の症状
・ 膝の曲げ伸ばし時の、ひっかかり
・ 膝を捻ると痛い
・ しゃがみ込みが困難
・ 膝を伸ばすことも、曲げることもできない(ロッキング) など
半月板損傷の治療法
治療法 |
半月板損傷の治療法は大きく分けて「保存的治療」と「手術的治療」に分けられます。
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薬物療法 |
消炎鎮痛剤の内服薬や、湿布などの外用薬などを使用します。
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注 射 |
痛みや炎症が強い場合には、局所麻酔剤やステロイド剤の注射を行います。
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保存的治療
リハビリ 装具 |
保存的治療では、テーピングや装具による補助、疼痛の軽減を目的にリハビリテーションを行い、膝関節への負担の軽減に努めていきます。
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手術的治療 |
手術には「切除術」(損傷した部分を切り取る)と「縫合術」(損傷した部分を縫い合わせる)の2種類があります。
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前十字靭帯(ACL)損傷とは
前十字靭帯損傷は、スポーツ外傷として頻度が高く、
などによって、膝関節に異常な回旋力が加わって損傷します。
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診断
触 診 膝関節に徒手的にストレスを加え緩みの程度をみます。
X線検査 骨折の有無などを調べます。
MRI検査 確定診断に用います。また、靭帯損傷の程度や半月板損傷や軟骨損傷の有無を調べます。
症状・経過
急性期を過ぎると痛みや腫れは徐々に軽減してくるため、ACLが切れた状態のままでも、ある程度の日常生活は可能です。
しかし、一度損傷したACLが自然に治癒することは難しく、関節の不安定性(膝がズレるような感じ)や膝崩れ(カクンと抜ける)などの症状により、スポーツ活動や日常生活動作に支障をきたしてしまいます。
また、ACLが切れたまま放置すると、半月板損傷や軟骨損傷を合併するリスクが高くなります。
一般的に、スポーツ活動への復帰を希望される方、労作業・日常生活で膝関節の不安定感が残存する方、若年者の場合には手術をお勧めしています。
前十字靭帯(ACL)損傷の治療法
治療法 |
治療法は大きく分けて「保存的治療」と「手術的治療」に分けられます。
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薬物療法 |
消炎鎮痛剤の内服薬や、湿布などの外用薬などを使用します。
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保存的治療
リハビリ 装具 |
専用のサポーターを装着し、膝関節周囲の筋力を強化するリハビリを行います。
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手術的治療 |
膝関節を構成する大腿骨と脛骨の最適部位に、関節鏡を用いて細いトンネルを作製し、そこに採取加工した腱を貫いて上端と下端を金具で固定することで膝の安定性を得ることを目的とします。
術後は、競技種目や個々の状態に応じたリハビリを行って行きます。 |
腰部脊柱管狭窄症とは
主な症状
・下肢のしびれ ・下肢の痛み ・腰痛
・間欠跛行
・膀胱直腸障害
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診断
問診や単純X線(レントゲン)写真である程度は推測できますが、より詳しく診断するためにはMRIや脊髄造影などの検査が必要となります。
腰部脊柱管狭窄症の治療法
治療法 |
腰部脊柱管狭窄症に対する治療は、まず保存療法を行い、その効果が乏しい場合や麻痺、膀胱直腸障害などの症状がある場合は手術治療を考慮します。
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薬物治療 |
消炎鎮痛薬や神経障害性疼痛治療薬、ビタミンB12、プロスタグランジンE?などの内服薬や、湿布などの外用薬などを使用します。
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ブロック注射 |
各々の神経痛、関節痛に対して局所麻酔剤およびステロイド剤を目的の神経や関節に直接またはその近くに注射します。
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リハビリ 装具 |
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手術的治療 |
脊柱管を構成する腰椎の骨・靱帯などを切除することによって、狭くなった脊柱管を広げる開窓術に加え、腰椎固定術を併用する場合などもあります。
年齢や性別、職業、所見、狭窄の程度、部位などを総合的に判断し、手術方法は決められます。
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肩腱板断裂とは
肩腱板断裂は、中高年ではケガなどのハッキリとした原因がなく、使い過ぎや腱の老化によってすり切れてしまうことがあります。
また、若い方でも転倒して手をついたり、肩を強打した場合に発生します。
一度切れてしまった腱は、自然に治ることはありません。
肩痛の代表として、肩関節周囲炎(五十肩)などありますが、「歳だから仕方ない」「いずれ治る」と放置せず、肩腱板断裂なのか、肩関節周囲炎なのか、それ以外の症状なのか、正確な診断を受けましょう。
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症状
・ 夜間に肩が痛む。
・ 自力では腕が挙がらない。
・ モノを持ち上げられない。
・ 腕を上下する際に引っかかり感がある、または引っかかる。
診断
X線検査 骨折の有無や、骨棘などの骨の変形の確認を行います。
超音波検査 大まかな断裂の部位や、断裂の有無の確認を行います。
MRI検査 確定診断のために行います。 断裂の有無、損傷範囲、程度を確認します。
断裂の種類
肩腱板断裂には、完全断裂と不全断裂(完全には切れていないもの)があります。
完全断裂の場合は、切れた筋肉の収縮によって腱が萎縮してしまい、断裂部分が広範囲に広がってしまうことがあります。切れてしまってからの経過が長い場合は、手術が困難になる場合があります。
不全断裂の場合は一部が切れていて、手術で縫合する必要がない場合もほとんどです。断裂範囲が小さい場合は、関節鏡視下手術が適応されることが多く、その場合、傷も小さく侵襲が少ないというメリットがあります。
肩腱板断裂の治療法
治療法 |
肩腱板断裂に対する治療は、「保存的治療」と「手術的治療」があります。
断裂程度、年齢、仕事や趣味、生活スタイル、などを総合的に判断して治療方針を決めていきます。
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薬物治療 |
消炎鎮痛薬内服薬や、湿布などの外用薬などで炎症や痛みを抑えます。
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注 射 |
必要に応じて局所麻酔剤およびステロイド剤などの注射を行います。 |
リハビリ |
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手術的治療 |
関節鏡視下腱板修復手術
直視下手術
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